一文レビュー

『ゾーンの入り方』 一文レビュー

イネ子

悪魔のような圧倒的強さ

室伏広治という名前を初めて聞いたのは、もう20年以上前。
昔、TBSで放送されていて大好きだった特番『スポーツマンNo.1決定戦』で、他をまったく寄せつけず、悪魔のような強さを誇っていた男。
それが室伏さんでした。

室伏さんはハンマー投げの選手。
陸上競技の中でも投擲(とうてき)種目というのは非常に地味で認知度が低く、TVで室伏さんを見るまで、私はハンマー投げがオリンピック種目であることすら知りませんでした。

一冊を貫く凛とした空気

そんなスポーツ音痴の私ではありますが、『ゾーンの入り方』というタイトルに惹かれ、この一冊を手に取ったのです。

タイトルは流行りの自己啓発書にありそうな感じでそれなりにキャッチ―ですが、中身は非常に骨太です。

古武道の道場にでも入ったかのような静けさとストイックさが満ちています。

体格のハンデを乗り越え、金メダル

鋼のような肉体を持っている室伏さんですが、世界で活躍する投擲選手の中に入ると小柄なのだそうです。

決して恵まれた体格ではなかったと。

それでも、2004年アテネオリンピック金メダル、2011年世界陸上金メダル、2012年ロンドンオリンピック銅メダル。

そして、41歳まで現役を続けていました。

ゾーンに入りやすくするための体の調整

室伏さんがゾーンに入りやすいコンディションを保つためにしているエクササイズの一部が、第6章に紹介されています。

全力で指を伸ばすとか、新聞を片手で丸めるとか、何の器具も使わない一見簡単なこと。

しかし、実際やってみると、これがまたできないのです。

普段から全力を出すということをしていなければ、ここぞというときにも全力がだせません。

1日1回でも、全力を出す瞬間を持ちたいと感じました。

◆きょうの一文◆

すぐに「もう限界だ」という人に限って、限界までやっていません。
(P.60)

わりと言われがちなこのセリフも、室伏さんが語ると説得力がまるで違います。。。

「ああ、さすがにもう無理」が口癖になりつつある私。

まだ余力があるのに出し惜しみしているからこそのこのセリフ。

無理はよくないとか言われるけれど、「いつか本気だす」とか思っていたら、本き出したいときには本気の出し方なんて忘れているんだろうな。

とりあえず、3秒だけ全力で指を伸ばしてみたら、じっとりと汗をかき、肩こりが一発でおさまりました。。。
(ほんとは10秒くらいキープしたかったけど、3秒で力尽きた)

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