一文レビュー

『「3か月」の使い方で人生は変わる』(佐々木大輔/日本実業出版社)一文レビュー

イネ子

freee創業者が語る仕事術

freeeというのは、クラウド上で管理する会計ソフト。
実は、私もユーザーだったりします。

いわゆる会計ソフトとは違い、1年ごとに買い替える必要はないし、入力は簡単だし、使い方が分からなければすぐに調べられるし、レシートの写真を撮るだけで入力できる機能だとか、銀行口座と連携させて自動で入力できる機能だとかがあって、とにかく便利です。

そのfreeeを生み出したのは、税理士の先生でもプログラマーでもありませんでした。

博報堂やGoogleといったものすごい企業でキャリアを積んできた著者は、freeeを立ち上げるやいなや、またたく間にクラウド会計ソフト市場でシェアNo.1に上り詰めます。

会計のプロでもプログラミングのプロでもない企業がfreeeを生み出すことができたのは、「3か月ルール」があったから。

どの業界でも使える汎用性の高い「3か月ルール」を、惜しげもなく披露してくれています。

どこを読んでも役に立つ

1つのテーマを3か月徹底的にやり尽くしたら、人生を大きく変えるインパクトを持つ。

その「人生を変えるための徹底した3か月」を迎えるための手引書なわけですが、これがまた項目ごとにきれいにまとめられていて、どこから読んでも意味が分かるし、どこを読んでも役に立ちます。

もちろん、1章から順を追って書いてあるので、順番に読んだほうがいいのだとは思います。

でも、普段あまり本を読まなくて一冊読み切る自信のない方などは、とりあえず気の向いた項目を読んでみる、という方法でもいいかもしれません。

目次を見て、気になる項目を選んで1日1つずつ読んでいったら、1か月半で読み切ることができます。

迷えるときは、オラクルブックとして

読み終えたあとは、悩んだとき迷った時に手に取るようにするとよさそうです。

とにかく、あらゆる問題の役に立ちます。

仕事でも、勉強でも、家事でも、育児でも、PTAでも、ボランティア活動でも。

成し遂げたいものがあるとき、計画が思うように進まないとき、煮詰まってしまったとき、目を閉じてこの本をパッと開く。

すると開かれたページに、問題を打開するためのヒントが...あるような気がしないでもありません。

いや、全然そういうスピリチュアルな使い方をする本ではないのですが、本当にそんなことができそうなくらい、端的で普遍性の高い内容なのです。

◆きょうの一文◆

周りに「freee」という会計ソフトの話をしても、「今のままでいいんじゃないか」「もっと速く入力できるものがほしい」と言われるばかりだった。(P.55)

この一文を読んだとき思い出したのは、
「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう。」
というヘンリー・フォードの言葉です。

そうか、freeeは会計ソフトのフォードだったのか。と妙に納得。

この本がfreeeの成功を讃えるための本なら、この企業の目の付け所の素晴らしさに感動していればいいだけです。

しかし、この本はそうではなくて、「読者にも3か月徹底的にやり尽くして人生変えちゃってもらう」ための本なのです(たぶん)。

そうなると、この1文の意味は大きく変わってきます。

世間が自覚さえしていないところに切り込んでいく、そんなことまでできちゃう3か月メソッド。そういう裏付けになってしまうわけです。

私が抱えているチンケな問題なぞ、解決するのに3か月もかかんねーや。

一気にヤル気でてきました。

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